【令和7年度 地域別最低賃金】東海三県の動向をチェック!
令和7年度の地域別最低賃金について、中央最低賃金審議会から引き上げの目安額が公表されました。
本コラムでは、弊所のお客様が多い東海三県(愛知県・岐阜県・三重県)に着目し、昨年度からの変動や、中小事業主の皆さまにとって重要な支援制度のポイントについて解説します。
東海三県の改定目安は?
中央最低賃金審議会より示された目安額と、前年度からの引き上げ幅は以下の通りです。
都道府県 | R6年度 最低賃金額(円) | R7年度 引き上げ目安額(円) | R7年度 目安額(円) | 前年度比 増加率 |
---|---|---|---|---|
愛知県 | 1,077 | +63 | 1,140 | +5.85% |
岐阜県 | 1,001 | +63 | 1,064 | +6.29% |
三重県 | 1,023 | +63 | 1,086 | +6.16% |
【参考】🔗令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について(厚生労働省)
※正式な金額は今後、各都道府県の地方最低賃金審議会の答申および官報公示を経て確定します。
ご覧の通り、いずれの県も引き上げ幅は63円で、昨年度(令和6年度)に続いて2年連続の大幅改定となる見込みです。
最低賃金引き上げが与える影響とは?
最低賃金の上昇は、特にパート・アルバイト雇用を多く抱える中小企業にとって、人件費増加という形で影響が出やすいです。
また、正社員との賃金バランス調整、シフト見直しなど、経営や労務管理の見直しが必要となるケースもあります。
中小事業主のための支援策と今後の対応
● 業務改善助成金の活用
最低賃金の引き上げに際して、政府は特に中小企業の支援を重視しており、「業務改善助成金」が注目されています。
この制度は、賃上げと併せて生産性向上の取り組みを行った場合に、一定の経費が助成されるものです。
ただし、助成対象となる条件や申請方法は年度ごとに変わることが多く、制度をうまく活用するには最新情報の把握と準備が不可欠です。
制度の詳細を確認したい、あるいは活用を検討したい場合は、社会保険労務士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。
● その他の支援策・政府の取り組み
最低賃金の引き上げに伴い、政府は中小企業の経営を下支えするために、各種の助成制度や支援策の充実を進めています。
たとえば、
・キャリアアップ助成金(非正規雇用の正社員化などに活用される制度)
・働き方改革推進支援助成金(労働時間の見直しや職場環境の改善などに関する支援)
といった制度が、賃上げや人材確保を後押しする目的で整備されています。
また、賃上げによって生じるコストの一部を価格に転嫁できるよう、
価格交渉や取引環境の改善に関する取り組みも進められています(いわゆる「価格転嫁対策」)。
制度の詳細や活用可否については、業種や会社の状況によって異なるため、
関心のある方は、厚労省のサイトや支援機関の窓口で最新情報をご確認いただくのが安心です。
今後に向けて
今回の目安は、まだ正式決定ではありませんが、例年どおり各都道府県の地方審議会でもおおむねこの水準が採用される見込みです。
令和7年10月の発効を見据え、契約内容の確認や賃金体系のシミュレーション、助成金の活用に向けた情報収集や、社内への周知・制度整備など、早めの備えを進めておきましょう。