令和8年4月スタート 子ども・子育て支援金とは?

〜給与計算担当者が知っておきたい実務ポイント〜

前回の記事(令和8年度 協会けんぽ保険料率)でお伝えしたとおり、令和8年度は社会保険料率の改定と合わせて、新たに「子ども・子育て支援金」の徴収が始まります
新しい制度なので、「何のこと?」「いつから?いくら?」と戸惑われている方も多いのではないでしょうか。
今回は、中小事業主・給与計算担当者の方がとくに迷いやすいポイントを中心に、こども家庭庁の公式情報をもとにわかりやすく解説します。

そもそも「子ども・子育て支援金」とは?

子ども・子育て支援金とは、全ての世代や企業から支援金を拠出いただき、子育て施策の拡充に充てるもので、こどもや子育て世帯を社会全体で支える制度です。

集められたお金は、以下のような施策に使われます(こども家庭庁FAQより)。

  • 児童手当の拡充(高校生年代まで延長・所得制限撤廃・第3子以降の増額)※令和6年10月より
  • 妊婦のための支援給付(妊娠・出産時の10万円給付)※令和7年4月より
  • こども誰でも通園制度(0歳6か月〜3歳未満、就労要件なしで月10時間まで保育所等を利用可)※令和8年4月より
  • 出生後休業支援給付・育児時短就業給付 ※令和7年4月より

つまり、少子化・人口減少が危機的な状況にある中、こどもや子育て世帯を全世代・全経済主体が支える「新しい分かち合い・連帯の仕組み」として位置づけられています。

負担額はいくら?

支援金額は、従業員ごとに健康保険の標準報酬月額に子ども・子育て支援金率を乗じて算出されます。
被用者保険(協会けんぽなど)の令和8年度の支援金率は0.23%とされており、支援金額の半分が企業負担となります。

たとえば、標準報酬月額が30万円の方の場合:

  • 月額支援金(全体):30万円 × 0.23% = 690円
  • 従業員負担(半分):345円
  • 事業主負担(半分):345円

金額としては小さいですが、給与計算・給与明細への対応が必要になります。

また、ボーナスからも支援金を拠出するため、賞与計算でも忘れず反映してください。

【実務上の重要ポイント①】給与からの控除は「ひと月ずれる」

ここが一番の混乱ポイントです。

令和8年4月保険料分から拠出いただきますが、給与天引きは5月から始まります
つまり、制度は令和8年4月からスタートしますが、多くの会社では「5月支給の給与」から初めて控除が発生します。

ただし、当月徴収(当月分の保険料をその月の給与から引く) を採用している会社では、「4月支給の給与」から控除が始まります。

⚠️ まず自社が「翌月徴収」か「当月徴収」かを確認し、控除開始月を間違えないようにしましょう。

【実務上の重要ポイント②】給与明細への表示はどうする?

給与明細書に支援金額を分けて示すことは法令上の義務ではありません。
ただし、こども家庭庁の事務連絡では、支援金を分けて表示する取組について理解・協力をお願いするとされています。
また、分けての表示が難しい場合でも、保険料の一部に支援金が含まれることを従業員に周知してほしいとされています。

整理すると、

  • 給与明細への分離表示は義務ではない
  • ただし、分けて表示することが望ましい
  • 難しい場合でも、何らかの形で従業員への周知は行う

給与ソフトの対応状況によっては、すぐに分離表示が難しいケースもあるかと思います。
その場合は、こども家庭庁が公開している事業主向けリーフレット(こども家庭庁HPよりダウンロード可)の掲示・配布などで対応するのが現実的です。

【実務ポイント③】産休・育休中の従業員は控除不要

企業の従業員については、医療保険料や厚生年金保険料と同様に、育児休業中は支援金も免除されます。

現在、産前産後休業中または育児休業中で社会保険料が免除されている従業員は、子ども・子育て支援金も同様に控除不要です。
4月・5月の給与計算前に、対象者を改めて確認しておきましょう。

従業員から「なぜ払うの?」と聞かれたら

4月・5月の給与支給後、「保険料が増えたのはなぜか」「子どもがいないのに払うのか」といった問い合わせが増えることが予想されます。

こども家庭庁のFAQでは、子ども・子育て支援金は、こどもや子育て世帯を全ての世代や企業が支える制度と説明されています。
子どもの有無や婚姻状況に関わらず、社会全体で子育てを支えるという趣旨の制度です。

事前にこども家庭庁の被用者保険加入者向けリーフレット(こども家庭庁HPよりダウンロード可)を掲示・配布しておくと、問い合わせ対応がスムーズになります。

まとめ:今すぐ確認しておきたいこと

確認事項ポイント
控除の開始月翌月徴収の会社 → 5月支給の給与から 当月徴収の会社 → 4月支給の給与から
支援金率協会けんぽ加入の場合 0.23%(令和8年度)
賞与からの控除あり(健康保険・厚生年金と同様)
給与明細の表示義務ではないが分離表示または周知が望ましい
免除対象者の確認産休・育休中の従業員は控除不要
従業員への周知事前にリーフレット配布・社内掲示などを実施

令和8年度は、保険料率の改定と新制度の開始が重なり、例年より給与計算の変更点が多くなっています。

なお、雇用保険料率の改定についても別記事で解説しておりますので、あわせてご確認ください。

ご不明な点はお気軽にご相談ください。

参考:

前回記事:令和8年度 協会けんぽ保険料率

こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」 

こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度のQ&A」